自分の状態を知るためのシンプルなツール 「レジリエンスゾーン」

人は常に安定して、ゆったりとした状態にあるわけではありません。

体調が悪いときにはエネルギーが湧きませんし、仕事の山場を超えた次の日には無気力になりがちです。一方で、仕事で焦って周りが見えなくなる時もありますし、イライラして無自覚に自分や相手を責めてしまうこともあります。もちろん、よく眠れてスッキリ良い気分でいる時もあるでしょうし、集中してパフォーマンスが上がっていることを自覚できている時もあります。

このように、人の状態は刻一刻と変化します。常に一定でいられるわけではありません。そして、自分のパフォーマンスも自分の状態に合わせて変化しています。

多くの場合、自分の状態に無自覚であるがゆえに望まない結果を繰り返していることが多かったりします。実は「自分の状態を知る」ことはとても大切で、今回はそのためのシンプルなツール 「レジリエンスゾーン」をご紹介します。

レジリエンスゾーンとは

レジリエンスゾーンは交感神経と副交感神経のバランスが取れている状態の事をいい、セルフマネジメントの基本となるものです。 

車に例えると、交感神経はアクセル、副交感神経はブレーキの役割を担っています。アクセル全開で走らせ続けると車本体への負荷も大きく壊れやすくなり、一方でブレーキをかけすぎても前に進みません。滑らかにリズム良く、バランスをとることがポイントです。

私たちも、交感神経優位の「過覚醒」、副交感神経優位の「低覚醒」に居続けるのではなく、バランスのある状態をたもつことで、パフォーマンスの維持・向上、集中力アップや前向きな気持ちを持つことに繋がります。

今自分(チーム)はどのゾーンにいるのか?

    

この図(レジリエンスゾーン)は神経系の揺らぎを表しており、バランスの取れた状態をグリーンゾーン、過覚醒の状態をレッドゾーン、低覚醒の状態をブラックゾーンと呼んでいます。

「自分(や自分のチーム・組織)は今どのゾーンにいるのか?」に気づくことがファーストステップです。多くの場合、自分(や自分の周囲)の状態に気づいていません。なんとなく調子がいい、なんとなく調子が悪いくらいの説明しかできないことがほとんどです。しかし、自分やチームがどのゾーンにいるのか気づくことができれば、グリーンゾーンに戻るための具体的な対策が取れるようになってきます。

そして、ここで覚えておいて欲しいことがあります。

先程バランスの取れた状態、グリーンゾーンにいることが大切だとお伝えしましたが、グリーンゾーンを外れ、レッドゾーンやブラックゾーンに行くこと自体が悪いということではありません。むしろ外れることは普通です。人の体のメカニズムとして誰しもレッドゾーンやブラックゾーンにいくものだからです。ただし、レッドやブラックに「居続けて」しまわないようにすることが大切です。

実は、セルフマネジメントの一つのゴールは、このレジリエンスゾーンから出てしまった時に、そのことに気づき、自力でグリーンゾーンに戻れるようになること、そして、グリーンゾーンを広げていくことなのです。

ぜひ、今自分やチームがどのゾーンにいるのかを意識・観察しながら、次の質問も考えてみてください。

・どんな時に過覚醒(レッドゾーン)や低覚醒(ブラックゾーン)になりますか?
・レッドゾーンやブラックゾーンから、どのようにしてグリーンゾーンに戻りますか?

グリーンゾーンに戻る、グリーンゾーンを広げる

どんなに意識をしていても、レッドゾーンやブラックゾーンに入ってしまうことはあります。大切なことはグリーンゾーンから外れてしまった自分に気づき、戻る方法を実践することです。 戻る方法は人それぞれあり、プログラム参加者の方法も、「書くこと」「自然を感じること」「好きな音楽を聴くこと」など様々です。

また、グリーンゾーンの幅も人それぞれ異なり、広い人もいれば狭い人もいます。グリーンゾーンの幅が広がり、自分でコントロールできている感覚が広がると、自分の中に余白が生まれ、新しい選択肢を生み出しやすくなり、望む結果に繋がりやすくなります。

グリーンゾーンに戻ったり、広げるには練習が必要です。ピアノの弾き方がわかったからと言って、いきなりピアノが上手く弾けるようにはならないのと同じです。日常の中でまずは自分のちょっとした変化や状態に気づくところからはじめて、気づいた時にグリーンゾーンに戻るように練習してみましょう。

また、チームや組織でこの考え方が浸透すると、共通言語が生まれ、メンバー同士で自分の状態を言語化し、同時に相手の状態を理解しやすくなります。チームや組織の状態を把握し、「良い状態」にする対策が取れるようになるため、チームや組織も活性化し結果を出せる可能性が広がります。

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【Transform プログラムstep1のご案内】

今回ご紹介した「レジリエンスゾーン」をプログラムでは実践的に活用しながら、スキルとして身につけます。8/30からDay1がスタートしますので、ご関心ありましたらぜひご参加ください。

詳細はこちらです。