【イベントレポート】親子で心を整える中学受験のための感情マネジメント

2026年3月7日、プレジデント社にて
「親子で心を整える ― 中学受験ママのための感情マネジメント講座」が開催され、Transform共同経営者/パートナーの稲墻聡一郎とエグゼクティブ・アドバイザーの園田恭子が登壇しました。

今回は母親向けの講座だったため、主に、自身も中学受験サポートの経験がある園田が体験談を交えながらメインのファシリテーションを行いました。

講座詳細
https://eventregist.com/e/ieDmfnzrU5bK


中学受験期に起きる、さまざまな感情

中学受験は、子ども本人のみならず、家庭にとって非常に大きなプロジェクトです。

第1部で登壇された学習塾VAMOS代表の富永先生曰く、

多くの家庭で、母親が
 
 ①学習指導者(塾によっては家庭での学習指導が親に求められる)
 ②マネージャー(学習や模擬試験の進捗管理、塾との面談、受験校の選出・決定・手続きなど)
 ③親(生活全般のサポート)

の3つの役割を担っており、本当に多忙な状況になっています。


そこに仕事や家庭のこと、他の子供の育児や介護などを合わせると、物理的・精神的な余裕がなくなり、日々様々な感情に直面することは容易に想像できます。

・成績が伸びない。塾の他の子は伸びてるのに…
・子供がやる気を見せない。時間はあまり残されてないのに…
・このままではろくな学校に受かりそうもない。
・塾代をこんなにかけているのに…
・母親の私が塾送迎、栄養管理、勉強サポートなど下支えしているのに…
・夫は子供の受験にまるで無関心で丸投げ…

親の内側には、

 焦り、恐れ、不安、怒り、無力感

といったさまざまな感情が生まれます。

実際に参加者の方々に「どんなシチュエーションで、どんな感情が出てきますか?」という質問を行い話し合っていただきましたが、実にさまざまな感情が生まれていることが分かりました。

まずこうした感情が

「なぜ生まれるのか」

という感情が発生する基本的なメカニズムから解説しました。


感情と行動と結果のメカニズム

それがどんな感情であれ、感情が発生することは止められません。
また、良い感情・悪い感情があるわけではありません。ただ、その感情を無意識に発露させることが不都合な結果を生む場合があります。

それを避けるためには「どう表現すると、望む結果や未来につながるのか」という意図に基づいて伝えることや伝え方を選択する「小さな立ち止まり」があると、状況を好転させることができます。

そのためにはその手前で「何に、どう反応して、どんな前提からその感情を生み出しているのか」という自分の内側の状態「いま現在」に気づく必要があります。

この内側の状態は、子どもとの関係性やコミュニケーション、そして家庭の雰囲気や結果にも影響します。


人の状態を表す「3つのゾーン」

講座では、内側の状態を理解するための重要な概念として、神経系の揺らぎを表す
バイタリティゾーン(Zone of Vitality)を紹介しました。

人は大きく3つの状態のどこかにいます。

グリーンゾーン(Green Zone)

安定し、柔軟で、つながりを感じられる状態

・落ち着いている
・視野が広い
・好奇心がある
・ユーモアがある
・人との関係が自然

レッドゾーン(Red Zone)

過覚醒の状態

・イライラ
・怒り
・焦燥感
・視野が狭くなる
・衝動的な行動

ブラックゾーン(Black Zone)

低覚醒の状態

・無力感
・疲労困憊
・やる気が出ない
・シャットダウン

これらはすべて人間にとって自然な状態ですが、
重要なのは

親の状態が、家庭や子どもの状態にも影響する

という点です。

母親がレッドゾーンにいると、家庭も緊張状態になり、
子どもはやがてブラックゾーン(無力感やシャットダウン)に入りやすくなります。
そうなると、子どもは勉強どころではありません。

もちろん母親だけでなく、子どもも、そして他の家族もそれぞれの神経系の揺らぎを持っているので、お互いに影響しあっています。


「まず自分の状態を整える」

参加者の皆さんに

・自分がどんなときにレッドゾーンに入るのか
・どんなサインがあるのか
・どうすればグリーンゾーンに戻れるのか

を話し合っていただきました。

グリーンゾーンに戻るための具体的なヒントとして、

・自分の状態を整える
・休息や余白をつくる
・役割を減らす・任せる
・物事をチームプロジェクトとして楽しむ

といったTipsも紹介しました。

「自分の状態を整える」簡単なやり方として「運動(4分ほどの軽いストレッチや足踏み)」を行い、実際に自分の内側がどう変化したかを確認していただきました。


参加者の感想

多くの参加者から

・「イライラするのは自分の性格の問題だと思っていました」
・「上の子と下の子で全然勉強への取り組みや反応が違う理由が分かりました」
・「自分自身の上の子、下の子への向き合い方が違うことを悩んでいましたが、その理由が分かりました」
・「家庭の中で何が起きていたのか理解できました」
・「まず自分が良い状態を作ることが大事なんですね」

といった声が聞かれました。

中学受験期においては、親の焦りから「いかに子供を勉強させるか」と、子どもを変えようとしてしまいがちですが、「まずは自分の状態を整えて、子どもにとって良い環境を作る」ことの必要性を感じていただけたようでした。


サポートシステムの重要性

今回の講座では懇親会が用意されていました。

講座中のテーブルごとの話し合いに加え、懇親会でも参加者同士の交流が盛んで、非常に活発に情報交換をされていました。

身近な学校や塾の保護者だと聞きづらい、話しづらいことも、この場で知り合った方々だからこそ話せること、聞けることもあるようでした。

皆様の様子を見ていると、一人で抱え込まず、こういった機会を利用して、発散や情報共有を行い、塾の先生や私たちがお伝えするような客観的な視点やスキルを知ることで、心の安定を図ることも大事だと感じました。

親子が良い状態で受験期を過ごし、望む未来へと進めるよう、セルフマネジメントのスキルが役に立つことを願っています。