参加者インタビュー:相手に伝わる話し方を会得して、自分のキャリアを切り拓いた
「Transformのプログラムに参加して、どんな新たな選択肢がうまれたのか?どんな変化が起きたのか?」は人によって違います。そして、「自分で新たな選択肢を生み出せるようになる、結果を変えられるようになる」と言っても、イメージがわかないというご意見も頂きます。
そんな疑問にお応えするために、プログラム参加者のリアルな体験や変化をインタビュー形式でご紹介します。
シリーズ第2弾は、「相手に伝わる話し方を会得して、自分のキャリアを切り拓いた」という大手自動車メーカー勤務Sさんのストーリーをご紹介します。
相手に伝わる話し方を会得して、自分のキャリアを切り拓いた
Sさん
大手自動車メーカー勤務
受講を決めたとき、あなたの人生にはどんなことが起こっていましたか?
自分が中心となってプロジェクトを進めていく中で、どうしてもうまくいかないことがあるのを一年半前ぐらいに気づき始めて。スタートしたばかりの頃はみんなモチベーションが高く、テンションだけでプロジェクトを進めていけてたんですけど、少し落ち着いてきたタイミングでなんだかうまくいかなくなったんです。お互い言葉のキャッチボールがうまくできていないと感じ、なぜだろう?と最初はわからなかったんですけど、だんだん「自分に原因があるのかも」って気づき始めたんですね。
原因として見えてきたのは、うまく言葉を伝えられていないことでした。同じ内容を他の人が言うとすごくわかりやすいのに、自分が言うと相手に伝わらないことが結構あって。伝え方なのかと思って「伝え方が9割」的な本を読み漁ったりもしたんですけど、ツールの話だけで何かもっと本質があるんじゃないかってずっと考えていたんです。
すると、自分が話す時に感情が昂っていたり、体が変にこわばったりしているのをちょっとずつ感じ始めるようになったんですよ。でもコントロールしようと思ってもなかなかできなくて、どうにもこうにも解決策が見出せない状態がしばらく続いたんですね。そんな矢先にTransformのプログラムの紹介文を見て「あ、もしかしてそういうこと?」って感じて。さらにその後Transformの本も読ませていただく機会があって、「これバイブルじゃん!」って(笑)。これはもう読むより百聞は一見に如かずだと思って、今回プログラム参加に至ったという経緯ですね。
このプログラムに何を期待していましたか?
プロジェクトにはいい人が集まってくれて、メンバーが11人もいるのにみんな最初はテンションが高くて。すごく幸せだな、人に恵まれすぎだな〜なんて思っていたんですけど、半年後は崩壊ぎみな状態に。
そんな時、プロジェクトを俯瞰して見てくれていたメンバーの一人に「メンバーのモチベーションを維持していくのもリーダーの仕事だし、そのための戦略も必要だよね」と言われて「ああ、そうか」と。テンションだけで行けると思っていたけど、そう長続きはしないとはじめて気づきました。それぐらい自分の視野が狭くなっていて、状況がよく見えていなかったんです。
テンションが高いところから始まったので、今でも高いだろうと勝手な思い込みをしていたけれども、あらためて周りをよく見てみるとメンバーの顔色が暗かったりとか、最近あまり話さなくなったとか、連絡を返してくれなくなったとか色々なことが散見され、「確かにちょっとダメかも」って身を持って感じるようになりました。ガッと昇っていった先にドーンと落ちた感じで。自分以外は本社勤務で、ようやく分かち合えた仲間ができたのに…と思うとショックも大きかったです。周りが見えなくなっていましたね。やるしかない、でもこのままだと一人で突っ走っちゃうし、どうしよう、と。
さらに、焦りや不安は表に出すものじゃなくて「リーダーたるもの、我慢せい!」みたいな思い込みもありました。そもそも感情や自分の弱さの出し方がわからなかったんです。だから当時の自分がもし焦りや不安を表に出せたとしても、感情に身を任せて怒るとか、泣くとか、たぶん極端なことしかできなかったと思います。それは良くないという気持ちもあって、負のスパイラルに飲み込まれていました。辛かったです。
同じところをグルグル回っている感覚だけはあったんですよ。そこから飛び出したいけど、飛び出す方法がわからなかった。逃げるとか、辞めるとか、そういう選択肢はあったんですけど、それだけはやりたくなかったんです。今まで自分の人生の中で逃げていたことが多かったので、今回はそうではなく前に進んで行きたかった。
だけどどうやったら前に進んで行けるのか、どうやったらメンバーに伝えられるのかがわからなかったし、ちゃんと伝えられるような状態に自分を保てないことにもすごく不安がありました。方法というよりは、自分の気持ちが救われるような、なにかひとつでもいいから脱出できるヒントが見つかればいいなと期待していました。
プログラムに参加してみて、何か変わりましたか?
変わりましたね。たとえば緊張しすぎずに冷静に話せるようになったというのはすごく大きかったです。だから、以前よりも相手とちゃんと会話をできている感覚があります。思い返すと、今までは会話ではなく、一方通行でこちらから言葉を発信していただけだったのかもしれない。視野が狭くなりすぎて、相手の顔もちゃんと見ていない状態で言葉を発していたから、相手がちゃんとそれを受け止めてくれているのか、理解してくれているのかもわからないままどんどん次へ、次へと話を進めてしまっていました。
今は言葉を一つひとつを丁寧につむぎ出していける気持ちの安定性があって、すごく大きく変われました。まだ完璧ではないですけど、前より気持ちをこめて話ができるようになったと思います。
相手の目を見ながら話すのが好きなんですけど、目を見ているだけで表情を見ていなかったんですよね。昔学校で教わったじゃないですか、「人の目を見て話しなさい」って。だから、人の目を見て話すのはどれほど自分が真剣に話しているかってことを相手に伝えるためなんだって勝手に解釈していたんですよ。でもそうじゃなくて、「人の表情を見て話しなさい」っていう意味だったんだって。そこが見えるようになったぐらい、落ち着いた状態で話ができるようになりましたね。土台がマインドの部分なんだっていうことを、35歳にして初めて知ることができました(笑)。
この1、2ヶ月ぐらいで今の安定した状態になってから、プロジェクトメンバーと議論している時も相手の反応に良い変化が出てきていて。「一緒に考えて、一緒に作り上げていこう」という言葉を返してくれる人が一人、二人と増え始めています。関係性が好転し始めていることを実感しています。相手側の変化も出始めて、本当にびっくりしているところです。
プログラムで実際にやるワークによって、あなたの内側と外側で何が変化しましたか?
表に出ていく機会が増えました。今までのように相手の表情もわからずに話すのではなくて、伝えたいことをちゃんと伝えられるようになったからこそ、表舞台で話をさせていただく機会が増えたのかもしれません。
あとは、社内の研修ローテーションで2年間ほかの部署で勉強する制度があって、それで今別の研究所にいるんですけど、本来であれば来月末で今やっているプロジェクトを終了して昔やっていた車の開発に戻るはずだったんですね。でもプロジェクトも、そこを起点にやっているイノベーション推進事業も、この2年間やってきたことはそれまで自分が10年間やってきた車の開発よりも会社のため、そしてその先にいるお客様のためにつながる変革のランドマークになっていると感じているので、元の開発の仕事に戻るという考えがなくなってしまったんです。今やっていることをもっと深めていって、どんどん仲間も増やしていって、失敗の中から成功を導き出していけるように会社を発展させたいと思っています。
でも、元の部署のマネージャーや部長や役員に「帰らないです」ってしっかりと伝えなければいけなくて。そういう話をする時に、今までうまく言えた試しがなかったんですよね。だけど先週いざ話をして、思いの丈をぶつけてきたら、「そうか、確かにそれも必要だからそういう方向にしよう」ということになって、元の部署も今の部署も理解してくれたんです。
今までやってきたことは間違っていなかった。そして、そのやってきたことと、この先どうしたいのかもちゃんと伝えられて、共感してもらえたのは大きかったですね。その時も安定して会話ができていたからこそ理解してくれたんだろうなと思います。自分のキャリアを自分で切り開いた感覚でした。
これがこの先実績になって、ビジネスになって、売り上げが拡大したら自分も納得できるんですけど、まだそこまで行ってないから「若輩者め!」って自分では思ってますけどね(笑)。
他と比べて、Transformはどこが違うのでしょうか?
会社の研修もそうなんですけど、偉そうなことを言っているわりにはツールを押し付けられることが多いんですよね。社員研修も、マネジメント研修も、「マネジメントとはこういうルールである。だからこうしなさい」っていう教え方をされるだけです。
でもTransformのプログラムは「あなたは何者ですか?」から始まる。だから、今までツールを押し付けられる受動的なプログラムが多かったので、最初に「だれ?」と問われた時、逆に「いやいやいや、なんですかこれ?ツールないの?」って思ったんです(笑)。でもセッション後、腑に落ちました。いきなりツールを渡されて「今日からこれを使え」って言われても嫌がる人が多いけど、自分に目的があったり、自分が気づいたことが起点になっていて、その結果このツールを使うとすごく効果的なんだよっていう順番だと、すごく腑に落ちるんですよね。
稀にマネージャー研修の時に「部下にはこういう気持ちがあって、その感情を受け取ってあげるためにも気持ちを高く持ちましょう」みたいな言葉を聞くことがあるんですけど、それでは自分の気持ちが置き去りにされてしまうんです。自分の気持ちはどこに置いたらいいんですか?って。たとえば、マネージャーになりたての時は「自分にできるのかな?」と不安も感じますが、「これが正解だから、そのままなぞるようにやれ」と言われてもプレッシャーにしか感じないし、拒否反応が出ますよね。だから研修の内容には納得できないし、共感できないし、理解もしづらいと感じたことが多かったんだと思います。
Transformのプログラムはそういうところもすごく勉強になりましたね。人にものを教えるのって、ツールありきではないんだな、と。ものを売る時もそうですよね。プロダクトアウトがあんまり良くないのと一緒で、物事を教わる観点と通じるものがあるというのは大発見でした。
会社にはお客様の立場に立って価値ある製品を作ろうっていう社是があるんです。要はものを作るときに「こんな技術があるから売るんだ」ではなく、「こんなに困っている人がいるからこういうものを作るべき、だから技術を開発しよう」っていうペインドリブンの会社なんです。 うちの会社が物を売る企業として100年やってこられたのは、ここにアテンションを向けているからだと思っています。「こんな技術があるから」から始まるプロジェクトはただのエゴで終わるし、誰にも共感してもらえません。
これは会社だけに当てはまるのではなく、研修だったり、人に教える場でも同じようなことが起きるんだなと思いました。先生と生徒って、会社とお客さんみたいなところもあるじゃないですか。そうすると、その関係性においては、生徒がどういう悩みや思いを抱えているかをまず先生が把握して、それに合わせたものをちょっとずつ教えていくのがいいですよね。生徒がどう考えているかを気にせずに先生が「こういうツールがあるから使うんだ」っていうんじゃないよね、とTransformのプログラムを通じて感じました。
―了―
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