Apple podcastでジェレミー・ハンターのインタビューが登場です
Japan Eats! という日本の食に関してのポッドキャストで、NYのフードライター、アキコ・カタヤマさんがインタビュアーです。
約1時間のインタビューからはジェレミーの日本文化や日本食への敬愛がとても伝わってくるインタビューです。全編英語のため日本語で要約したものをご紹介します。
曾祖父が日本の力士、奥様も日本人と日本にゆかりのあるジェレミー。彼が過去大病をした時、その後の様々な経験から改めて日本の「禅」精神の大切さ、日本文化の素晴らしさを語っています。
このインタビューで語られた日本文化の素晴らしさの中でも印象的なものが3つありました。
・瞬間に意識を向ける文化
・限られたリソースから美しいものを生み出す力のある文化
・アナログの感覚を大切にする文化
【瞬間に意識を向ける文化】
ジェレミーが大好きな茶道では、厳格なルールのもと1つの場所でホストとゲストの一体感を創出するため、お互いが一つ一つの所作や間といった「瞬間」を大事にすると言います。またこれは茶道に限るものではなく、華道、書道、武士道など「〇〇道」も同じだと例に挙げています。
ルールやルーティーンが決められているものの中では、何も考えずにできる行動、つまり自動操縦の状態でできる行動でもこの「〇〇道」においては、「瞬間」に意識を向けると言います。だからこそ美しいものや空間が生まれ、その文化が血として流れている私達には居心地の良さに繋がるのかもしれません。
また日本の「職人」に対しても熱く語っています。例えば、毎日同じランチを作り続ければ普通は飽きたりするものですが、職人は飽きることなく毎日同じことを情熱と共に繰り返し行います。長年愛される焼き鳥職人との出会いと、その方の姿を見てジェレミーはこの違いが何かを考えたそうです。たどり着いた一つの考えは、職人は毎回その瞬間の仕事に集中しているということ。いいものを作り出すために瞬間に全意識を傾けているということだと考えたそうです。このインタビューの中でジェレミーはこれに対して敬意を込めて「焼き鳥メディテーション」と名付けていました。
【限られたリソースから美しいものを生み出す力のある文化】
日本は戦後非常に貧しい国で、食料も資源もあらゆるものが制限をされていました。しかしそのような状態から世界でトップクラスの先進国になりました。その力のすごさを「おりがみ」を例にジェレミーは話しています。
「おりがみ」はたった1枚の四角い紙です。そのたった1枚の紙から日本人は完成形を想像し、それをどう形にできるかを考え、試行錯誤しながらも一つの美しい作品を作り上げます。このプロセスが文化として根付いているからこそ、今の日本があり、各国の人達が関心を寄せて観光に訪れる国になったのだと話しています。
【アナログの感覚を大切にする文化】
Transformのセッションの中でも「お風呂は最高の癒しのツールだ」とよくジェレミーは言います。このポッドキャストの中でもお風呂への想いを話しており、「アナログの感覚」の例として話をしていました。
今多種多様な分野でデジタル化が進む一方、日本人は「アナログの感覚」を大事にしていると言います。「アナログの感覚」とは、例えばお風呂に入った瞬間のあのほっとする感覚や、寒い日の冷たいトイレの便座に座った時の冷たい感覚などです。これらの感覚はデジタルではどうすることもできないものです。この「アナログの感覚」を大切にするからこそ暖房便座も生まれることができたと言います。その感覚を大切にし不快なものを快適なものに実現あるいはよりよくするために、デジタルとの融合を果たして生活の質を高めていけることが日本のすごいところだとジェレミーは言います。
ジェレミーはインタビューの中でこうも言っています。
「瞬間の質の大切さを日本の文化は知っている」
セッションの中でも「瞬間に意識をする」ことの大切さを伝えて、いかに自分が自動操縦状態になっていたかに気づくことが多いものですが、私達日本人はもともと文化的に持っていたものなのだと、このインタビューから感じます。
余談ですが、ジェレミーは毎週「チキンを塩麹に漬けて、寝かせてから柳宗理のフライパンで焼く」そうです。これを聴くだけも彼の日本への愛が伝わりますね。
全編英語にはなりますが、ご関心ありましたらぜひご視聴ください。
Apple podcast
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