【イベントレポート】有松絞り x セルフマネジメントワークショップ 2023 第1部

日本遺産の有松(愛知県)において、有松絞りを創作する体験を通して自分自身の固定観念に気づき、意図的に手放しアウェアネスを高めるプロセスを体験する、とても楽しく意味のあるコラボレーションプログラムを実施しました。

私たちTransformのプログラムでお話しする「瞬間に意識を向ける」と「体験は自分でつくり出している」がキーワードとなった今回の「有松絞り x セルフマネジメントワークショップ」。どのような思いで開催にいたったのか、また、どのような学びや気づきがあったのかをご紹介します。

イベント開催の背景

2022年3月21日に開催された「有松日本遺産記念シンポジウム」において基調講演を行なったジェレミー・ハンターが以前から持っていた下記のような強い想いから、今回のワークショップを企画・実施しました。

◆ 長く生き続ける日本文化・芸術の真髄に触れ、学びを得るプログラムをつくりたい
◆ 様々な方法によって自身を開発し成長させることができることを知ってほしい
◆ 創造するという行為を通して、どのように自分が自分の世界を創り出しているのかを実感してほしい

昨年実施したプロトタイプのプログラムにおいて、有松絞り創作を通じて得る気づきや学びの深さが、日常では得られない貴重なものだったことから、今年はオープンな形で実現した特別プログラムです。

このイベントの講師 藤井ショウジ氏は、有松絞りの伝統的な技法を継承しながらも新たな技法を生み出し、創造や芸術の可能性を見出し、ニューヨークのファッションコラボレーション等で世界的に認められた現代アーティスト。藤井氏の作品の多くは、日常の中にある「瞬間」に意識を向け、その情景やイメージを作品に投影しています。

【イベントレポート】有松日本遺産記念シンポジウム

昨年の有松イベントレポート 第1部/ 第2部

有松絞りとは

有松絞りは、400年以上歴史がある伝統工芸です。有松は名古屋市内にありながら江戸時代の面影を残す貴重な街ですが、実はあまり多くの人に知られていません。江戸と京都を結んだ旧東海道の茶屋集落で、絞り染めにした手ぬぐいを東海道の土産物として売り出し、産地として栄えました。絞り染めは、伝統工芸として今も受け継がれています。

有松絞りは布を糸で絞った後、染色します。染色後糸を解く瞬間にならないと、その完成した姿が見えません。糸で絞る前に結果をイメージしつつ、さまざまな技法を使ってそのイメージに近づけるため、工程一つ一つで仕上がりが変化します。

布を絞る様子 ・ 染色液

講師の藤井ショウジさんの話によると、イメージとは違うシワや線が入ったりするのも作品の味わい深さになると言います。

日本遺産 有松 サイト

日々の喧騒や刺激から離れ、非日常の体験を通して自分の前提やパターンに気づき、自分の認識を広げる

認識を広げるとは、例えば自分が無意識に持っていた思い込みや意識の向け先、身体感覚に気づき、今までとは違う角度から物事を捉えたり、目を向けていなかった新しいものに注意を向けたりしながら、自分の知っている世界や可能性を広げていくことです。

「非日常の体験を通して自分の癖や傾向に気づくこと」「自分のパターンを知り、意識的に視点を変えたときにどんな違う結果が得られるのか?」というセルフマネジメントのスキルを、創作を通じて体験するのが今回のねらいでした。

今回のワークショップでは参加者持参のTシャツも染めることが可能だったため、多くの方が白いTシャツを持参される中、参加者のひとりはピンク色のTシャツを持参。「カラーTシャツでも良かったのか!」と、染める=白いもの、という固定観念に気づき、当日着ていた色のついた服を染める方もいました。

どのような体験内容で「認識が広がり、固定観念に気づき手放す」経験ができたのか、参加者の声は第2部をご覧ください。